成分構成の差を「逆手」にとったニュージーランド産のラベンダーオイル


南半球に位置し、サザンアルプスと呼ばれる標高3000メートルを超える高い山々が連なるニュージーランド。ヨーロッパと気候的に似ている事もあり、ラベンダーの栽培に適した環境があります。
以前までは“普通”のラベンダーが栽培・生産されていたため、あまり注目を集めることは少なかったのですが、アビスヒル種の栽培・生産が始まると、そんなイメージを一新しました。
学名で記すならLavandula angustifola (Lavandula officinalis) Avice Hill。この品種より抽出されたラベンダーオイルの特徴はリナロール成分の少なさです。
リナロール成分はラベンダーオイルにおいて従来は最重要視されるもの。この成分の含有が多いほどにフローラル感が増すため、含有量の多いオイルが良い香りのオイルとして好まれてきました。

これに対してこの成分の少なさを「売り」にしたのがニュージーランド産のアビスヒル種のオイル。リナロールの成分がヨーロッパ(EU)においてアレルギーの原因物質(アレルゲン)としての指定を受けたことから、この成分構成を逆手にとる形で、低アレルギー性のラベンダーオイルとしてヨーロッパを中心に大きな注目を集めることとなったのです。
ラベンダーの香りに対して嫌悪感を感じたり、頭痛などの症状が出る方にはリナロール成分に対するアレルギーが疑われます。このような方にとって、ニュージーランド産の低アレルギー性のラベンダーオイルは好ましい、そして大変希少な存在だと言えるでしょう。

2022年・もうすぐやってくる、日本でのエッセンシャルオイルの価格急騰の理由とは?


インフレによる食品などの価格上昇が話題になっていますが、インフレの波はエッセンシャルオイルにもまもなく一気に波及すると見込んでいます。
エッセンシャルオイルの多くは輸入品ですから、円安の影響もあって価格上昇があることは容易に想像できるのですが、販売店やメーカーにそれまでの輸入した国内在庫があるうちはその影響はあまり目立ちません。一方で生産地では物流費の高騰に加えて、蒸留工程で使用する燃料コストなどの生産コストが現在も大きく上昇中。当然、こうしたコストはオイルの生産者価格に反映されますから、日本でも現在の国内在庫がなくなった時点、価格の急騰と言った形で影響が現れることが予想されるのです。

こうした価格上昇に対してどう対処するのか。品質を維持するために値上げをするメーカーがある一方で、品質を抑えることで価格上昇を抑制しようと考えるメーカーもあることでしょう。
どちらの商品を選ぶのかはもちろんユーザーさん次第ですが、もし品質を最優先にするならば、品質に妥協することなく、パッケージングの簡素化やオーストラリア国内において直接取引する生産者との大容量取引によるボリュームディスカウントを駆使することで、生産者価格上昇を最小限に抑えることができるティーツリーファームズのスタイルが今後、ますますお役に立てるかもしれません。

オーストラリアでは精油の希釈ならマカデミアナッツオイルがキホン!


エッセンシャルオイルの希釈に用いられるのがキャリアオイルと呼ばれる植物油。植物油とは言っても、食用油とは品質、使用感も香りも大きく異なります。マッサージなどで量的に主体となるのはエッセンシャルオイルよりもキャリアオイルのほう。ですから、キャリアオイルの選択ではエッセンシャルオイル以上にその品質にこだわって選択することが重要といえるでしょう。

こんなキャリアオイルのうち、オーストラリアで広く一般的に用いられるのがマカデミアナッツオイル。もちろん食用オイルではなく、精製されたコスメティックグレード(化粧品用途)の特別なオイルです。コストパフォーマンスに主眼を置くなら同じく精製されたアーモンドオイルの方が優位なのですが、べとつきが少なく肌にスッと浸透していくような使用感で選択するならマカデミアナッツオイルの優位性は揺るぎません。そのため、都会の高級スパリゾートから田舎のマッサージ治療院まで、オーストラリアでマッサージオイルのベースとして採用されるのは『コスメグレードのマカデミアナッツオイル』のほぼ一択になっています。
べとつきを感じさせない優れた使用感に加えて、ナッツの香りがほどよく抑えられている点も、ラベンダーなどの香りが多用されるマッサージ用途では優れた点になるのでしょう。

なお、ホホバオイルでは栄養価の高い未精製のゴールデンホホバオイルが人気なのですが、マカデミアナッツオイルにおいては未精製のオイルはべとつきが強い上、酸化の影響を受けての腐敗が進みやすく長期保管に適さないなどと言ったデメリットが多いため、オーストラリアにおいても主に食用としてしか採用されることがありません。

豪州産のキャリアオイル・アーモンドオイル


マカデミアナッツオイルやホホバオイルの影に隠れて、有名なオイルなのにオーストラリア産であることがあまり知られていないのがアーモンドオイル。オーうストラリアは世界でも有数のアーモンド生産国です。

食用として用いられることの多いアーモンドオイルですが、化粧品用途向けに精製処理されたオイルも生産されています。アロマのキャリアオイルで利用されるのもこのタイプのオイル。

ホホバとは異なり、精製しなければコスメ用途としては使用できません(正確には、未精製オイルでも使用できますが、成分が不安定で腐敗しやすく、べとつきが強いため適しません)。精製されたオイルはべとつきが少ないのが特徴。同時にアーモンド特有の香りが抑えられています。さらに食用オイルとの大きな違いは酸化に強く、腐敗しにくいこと。時折、この違いを理解しないままに食用のアーモンドオイルを用いてエッセンシャルオイルを希釈したり、マッサージオイルを自作し、数週間で香りが急激に劣化してしまうケースがあるようですから、この違いを理解しておくことは重要です。

アーモンドオイルはマカデミアナッツオイルと比較してやや赤みがかった色が特徴。この記事の画像のオイルのような色のほかに、もっと赤みがかったオイルもあり、ロットにより違いが見られます。肌で使用する場合、マカデミアナッツオイルのような、すっと肌に浸透するような感覚はあまりありませんが、塗布後に軽くタオルを使ってタッチドライすることで、しっとりとした仕上がりが体感できます。

また、化粧品用途として用いられる品質に加えて、もう一つの魅力は経済性。ホホバなど他のキャリアオイルと比較して安価ですから、多量に利用したい場合に適しています。未開封の場合で3年間は問題なく保管できる(開封後は1年以内に使いきることを推奨)成分の安定性も魅力ですね。
オーストラリア産の精製アーモンドオイルをキャリアオイルとして活用してみませんか?

大洪水から2ヶ月後のティーツリーオイルの畑には・・・

2022年2月末に起きた大規模な水害。過去の記録を2メートルも上回る、海抜14メートルを超える規模の大洪水は近郊の町を建物の2階までを沈める深さで破壊し、この地域にあるティーツリーの畑も1週間以上に渡って、すっかり水没させました。

これだけの被害を受ければ、他の農作物なら甚大なダメージを受け、死滅してしまったことでしょう。もちろん、そのままの再生などは全く期待できなかったはず。

しかし、ティーツリーの木は違います。
こうした洪水・水害の多発する地域を「地元」とするティーツリーの主な自生地は湿地帯。この植物はこのような洪水を織り込んで生きているのです。

記事の画像はこの大規模洪水から約2ヶ月後(正確には7週間後)の、2022年4月に撮影したもの。枝が伸び、葉の茂る様子が見えます。
畑にはクチュクチュとまだ水が流れる音が聞こえ、トラクターなどが立ち入れないようなぬかるみです。

さらに驚くことは、この地域が3月末にも、もう一度、洪水被害を受けていること。つまり2回、水没しているのですが、それでもティーツリーの木はこのように、強い生命力を私達に見せつけます。

畑の横には複数の鉄塔が建っていましたが、そのうちの1つは大きく傾き、さらにその横には完全に倒壊してしまった鉄塔がありました。
つまり水害時には水没だけでなく、大きく激しい水の流れがあったことを示しています。

こんな激しい災害でしたが、厳しい自然環境を『宿命』として負っているティーツリーの木にとっては、十分に乗り越えてゆけるものだったのでしょう。

ティーツリーの生産者にとっては、作物は生きていますが、大地が乾いて固まるまでしばらくハーベストはできず、また洪水による漂着物の除去や雑草の駆除など、農園復興のための、手間のかかる日々が続きます。

エッセンシャルオイルを希釈する際に知っておくと便利な、小さなコツ

エッセンシャルオイルを希釈する際に知っておくと便利な、小さなコツ
マッサージオイルを自作するときなど、エッセンシャルオイルをキャリアオイルを利用して希釈するケースは珍しくないかと思います。まず、ドロッパーからの滴下数をカウントする方法は、少しまとまった量を扱う時などでは数値の誤差が大きくなりますので適しません。こんな時にはスポイトやシリンダーで計量するか、精密な計量器を使って重量で計量することになります。
たとえば合計で100ml(または100グラム)の3%希釈オイル作る場合、ラベンダーオイルを単体で希釈する場合であれば97ml(または97グラム)のキャリオイルを取り出し、そこに3ml(または3グラム)のラベンダーオイルを加えて混ぜ合わせるだけですから、簡単ですね。
【注意】エッセンシャルオイルは比重が水と異なりますので、容量と重量をごっちゃにして混ぜると正しく計量できません!

それなら逆に、予め3mlのラベンダーオイルを取り出しておいて、そこにキャリアオイルを計りながら混ぜても一緒だと思いませんか? 「エッセンシャルオイルを希釈する」のですから、まずは主となるエッセンシャルオイルを予め準備して、それをキャリアオイルで薄める、という感覚ですね。まるでウィスキーの水割りのように(笑)。
確かにその通りなのですが、こうするとしばしば、勢い余ってキャリアオイルをドーッと入れてしまって、予定よりも薄まってしまうミスが多く発生するのです。心当たりのある方も多いのでは?
なので、こうした計量では、まず絶対量の多いものから順番に計量・加えていくのが小さなコツなのです。

虫除け効果を期待して、色々混ぜすぎると、香りがカオスになる・・・

レモンティーツリーの花

虫除け効果が知られるエッセンシャルオイルについては、ご存じの方も多いことでしょう。たとえばティーツリーファームズの取扱商品の中だけでも、レモンユーカリペパーミントレモンティーツリーラベンダー等が挙げられます。
これらのエッセンシャルオイルはそれぞれに異なる成分で蚊やブユを寄せ付けないのですが、すべてが強い香りのエッセンシャルオイルです。

そして、とある田舎町の小さなお店。ここで見かけたのが地元のアロマセラピストがブレンドしたという、手作りのラベルが貼られた虫除けスプレーでした。エタノールをベースにして、おそらく「虫除け効果のありそうなオイルを全部混ぜちゃえばもっと効果があるかも!」という発想になったのでしょうか、前出のすべてのオイルに加えて、ティーツリーやレモングラス、ユーカリ・グロブルスのオイルなど、さらに強い香りを持つ数種類のオイルがブレンドされたものでした。
早速購入して使ってみたのですが、それはレモンのようなシャープな香りの中にツンツンとしたミントとユーカリの香りがあり、同時にフランス産と思われるラベンダーのスパイシーな香りも加わり、さらにその背後にはフローラルな香りと少し酸化の進んだティーツリーのような香りも混ざり合い・・・もう、それはこれ以上、言葉では説明のできないような、カオスな香り(笑)。

確かに「虫除け効果」はありそうでしたが、同時に「人よけ効果」もありそうな香りに仕上がってしまいました。

エッセンシャルオイルは服用できるのか?という質問の裏側に見える巧妙なトリック


以前、頻繁に頂いたお問い合わせの中に「ティーツリーファームズのエッセンシャルオイルは服用で使える品質ですか?」というものがありました。
この当時、同様のご質問が何故か急に増えたものですから、調べてみますと、ネットワークビジネスでエッセンシャルオイルを販売する某社の会員さんから、エッセンシャルオイルの経口摂取が体に良い、という噂が流布されていることがわかりました。
この情報自体、リスクが高く、大変無責任なものですが、同時に巧妙なものだと思います。何故なら、これはそもそも品質の問題などではなく、服用利用によるリスクを知る常識・良識のあるエッセンシャルオイルメーカーなら必ず「できません」と答えるはずだからです。また問い合わせた側の方には「この会社の商品は服用できるだけの十分な品質ではないから、勧められた某ネットワークビジネスの商品を購入しよう」という結論に導かれるからです。

エッセンシャルオイルはその種類によっては希釈されたものが服用薬として使用されています。整腸剤として使われるペパーミントオイルなどがその代表例で、オーストラリアでは薬局で薬剤師によって処方してもらえますし、カプセルに入った市販薬も購入できます。
しかし、強い成分を含有するエッセンシャルオイルを一般の方が自己判断で服用に使用するというのは全く話が違います。

確か同じ頃、「〇〇オイルを服用したら、トイレのニオイがローズの香りになった!」などといった、トンデモ話もありましたが、これはローズに失礼です(笑)。

それから数年後、私自身もこの某社ネットワークビジネスの勧誘内容を知る機会がありましたが、エッセンシャルオイルの専門家なら絶対に推奨してはいけない、実に危険な方法が次々と解説されていました。そこで専門的な情報と知識を添えて疑問をぶつけてみると、「それはあなたのレベルでは理解できないものだ」と言われて、話題が変えられます。
なんとも、まあ。。。
ということで、「常識・良識のあるエッセンシャルオイルメーカー」の専門家の立場として、この種のトリックには十分にご注意いただきたいと思います。

エッセンシャルオイルの価格が近年、大きく上昇している理由


近年、日本ではエッセンシャルオイルの価格が大きく上昇しています。これは為替レートの上で日本円が相対的に下がった「円安」の影響も含まれますが、これ以外にも複数の要因が挙げられます。
その1つは生産国での賃金と物価の上昇。たとえばここオーストラリアでの最低賃金の時給は2022年1月現在でおおよそ20ドルで日本円にすると1,640円。(正確には$20.33)。雇用者はこの金額の上にさらに個人年金積立分として10%を加算して支払わなければいけませんから、実質賃金は1,800円ほどになります。賃金が高い一方で物価も高く、たとえば2021年の国全体の平均的な住宅の価格なら5,000万円以上、賃貸住宅の家賃なら平均で4週間あたり1,872ドル・15万円以上にもなります。
もちろん、物価が高ければ蒸留に必要な燃料費なども含めてエッセンシャルオイルの製造に必要なコストも上昇します。事実、2000年頃と比較して2021年現在、ティーツリーオイルの生産者価格は物価上昇に比例して、(グレードにもよりますが)平均して2〜3倍にまで上昇しているのです。

2つ目の要因はアジア圏でのエッセンシャルオイルニーズの上昇です。以前であればヨーロッパやアメリカなどの有力エッセンシャルオイルブランド・メーカー向けの出荷が主だったのですが、最近ではアジア圏の各国からの引き合いが増えており、生産が追いつかないオイルも。自社(自国)への独占を意図してオイルだけでなく農園をそっくり買収する、といった荒業も出て、国際取引価格は上昇傾向にあります。

このような要因から上昇しているエッセンシャルオイルの価格は、これからもこの上昇傾向を維持することでしょう。
一方で、もし仮に、どこかで少し安価なオイルを見つけたなら、そのオイルが「安価である合理的な理由」があるのか、それが本当に「ラッキーな掘り出し物」なのかどうかを必ず確認してみましょう。

私たち、ティーツリーファームズはオーストラリアでの豊富な技術と経験、知識、人脈をもとに、お客様にフェアな国際価格で、良質なエッセンシャルオイルをお届けするメーカーであり続けます。

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色も香りも濃厚、ブッダウッドオイルはこんなオイル


オーストラリアで生産されているウッド系オイル。その中で近年、新しいオイルとして注目を集めているのがブッダウッドのエッセンシャルオイルです。

見た目は画像の通り、赤みの強い茶色。例えるならキャラメルやウィスキーのような色でしょうか。
光を当てるとその赤さが更に強く見えてきます。これほどに濃い色を持つエッセンシャルオイルはマンダリンなどの柑橘系のオイル以外ではそれほど多くないように思います。

そしてその香りも濃厚。木工の工房を訪れた時に感じる、あの力強い「木の香り」そのもの。特にクセの強い香りではありませんが、存在感が消えることはない、そんなベースノートにふさわしい香りです。

技術的な面で、ブッダウッドオイルを活用する上で注意したいのは色。濃い色ですからシミになりやすく、スプレーでの使用などでは注意が必要となります。
そして粘性。オイル自体の粘性が強いため、ボトルから取り出した直後はそれほど不便はないものの(他のウッド系精油と同等程度)、少し乾き始めると、まるで接着剤のように粘性が高まります。
そのためガラス器具などでこのオイルを扱う場合には、予めエタノールを準備し、取り扱い後には早めに器具のクリーニングをすることが肝要です。
保管時にはキャップのドロッパー内にオイルが流入しないよう、必ず立てた状態で保管しましょう。

他のウッド系オイルと同様に、活用では少し手間のかかるブッダウッドオイルですが、その香りには手間をかけるだけの十分な魅力があります。
オーストラリア産の新しいウッド系精油を是非、いろいろな場年で活用してください。