「奴らが作っているのはティーツリーオイルじゃない! 俺たちの組合以外が作っているオイルは全部ユーカリのゴミから作った偽オイルだ!」
地元の新聞の掲載されたこんな激しい中傷。某ティーツリーオイルの生産者組合幹部の発言でした。
事実を知らない一般読者なら信じてしまいそうな内容。記事を読んだ組合から距離を置く、古参のティーツリー生産者は「まだ、こんなことを言っているのか・・・」と困惑の表情です。
一体、どうなっているのか。話はISO(国際標準化機構)によるティーツリーオイルの国際的な品質基準が制定される前まで遡ります。
当時、様々な生産者が様々な木々から「ティーツリーオイル」を生産していました。もちろん、基準が存在しないのですから内容・品質もバラバラ。こんな状況を打開すべく、有力生産者や組合などが中心となって様々な対立を抱えながら生産者間の利害調整を行い、規格が定められたのでした。
この時点で『国際的なティーツリーオイルのルール』が生まれ、基準を満たすオイルが「本物のティーツリーオイル」となったのです。
しかし、様々な感情的なしこりまでは今現在までも解消されていなかったのです。結果、「ティーツリーオイルは自分たちのオイルだ」という思いの強い組合幹部による、非組合生産農家に対する冒頭のエゴ丸出しの、極めて残念な発言につながったのでした。