目的別・アロマディフューザー選びで気をつけたいこと


エッセンシャルオイルを空間に拡散してくれる機器「アロマディフューザー」。
かつてアロマといえばキャンドルを使ってアロマポットで楽しむのが主流でしたが、火を使うことによる火災リスクや、熱による拡散ではオイルに含まれる各種成分の気化温度のズレにより香りにムラが生じることなどを理由に、現在では超音波式のアロマディフューザーが一般的となってきました。
今回はアロマディフューザーを選ぶ際に重視したい点をご紹介しましょう。

1. 噴霧量は十分か?
展示されている機器でディフューザーから出されるミストの量を比較し、目的にあった機器を選択しましょう。小さなお部屋で香りを楽しむだけであれば、チョロチョロとミストが出る安価な機器でも十分。一方で広いお部屋での使用や、抗菌目的の噴霧であれば噴霧量の大きな機器が必要となります。
ただし、噴霧力の弱い機器では粘性の高いウッド系のオイルなどはタンク内に残ってしまい、十分に拡散できないことも。

2. 運転時間は?
タンクが小さな機器では連続運転時間が短くなってしまいます。例えば就寝時に連続使用した場合などでは大きなタンクを備えた機器を選択した方が良いでしょう。エッセンシャルオイルが利用できる加湿器を選択する方法もあります。

3. 運転モードは?
連続運転のほか、間欠運転(数秒〜数分ごとに運転をオン・オフする)機能がついた機器も存在します。こういった機能がついた機器では1回の運転で長時間の利用が可能になるほか、タンク内のオイルの濃度を調整することで香りの強弱を調整することもできます。結露防止にも効果的です。

4. 他メーカー商品が利用できない専用機器?
特殊な形状をしたカートリッジ式だったり、特定メーカーのブレンドオイル・アロマ水溶液しか使用できない、といった機器も存在します。他メーカーの香りも利用する予定であれば、汎用性を削ぐ専用機器の選択は避けるべきかも。

5. メンテナンスのしやすさは?
複雑な形状をした機器は意匠的に優れていますが、メンテナンス・お手入れが難しかったりすることも。
お部屋のインテリア装飾として購入するのか、実用性を重視するのかを決めてから購入しましょう。

このように、アロマディフューザーの選択基準は目的によって大きく変わります。ご自身のアロマのスタイルに合わせて選択してください。

倦怠期? 大好きな香りだからこそ、時々休んで大切にしてあげることが重要


いつも同じ香りを利用していると、嗅覚に「慣れ」が生まれ、だんだんと鈍感になってしまいます。結果、使用する濃度がどんどんと上昇してしまいます。
時折、とても強い香水の香りを漂わせている方を見かけますが、おそらく毎日使用することで慣れが生じ、ご自身はそんなに強いと感じていないのではないでしょうか。

強い香りは周囲の方への迷惑「香害」となってしまうほか、香りを作るためのエッセンシャルオイルの「浪費」にもつながります。これを防止する方法は2つ。

1つ目はきっちり計量して使用すること。当然ながら香りの強さは使用するオイルの量に比例します。計量することで「過剰な強さの香り」になることを防止することができます。

ただ、毎日使用していますと嗅覚の慣れで、大好きな香りが楽しめなくなってしまう・・・そこで2つ目はこれを防止するためにあと2つほど、全く異なる香りの系統で大好きな香りを見つけること。もちろんオリジナルブレンドでも構いません。
これらを数日から1週間単位などでローテーション使用することで、大好きな香りへの慣れを防止し、いつも新鮮な感覚で活用することができます。

ティーツリーオイルでは忌避される刺激成分「1,8シネオール」がいっぱい含まれるオイルとは?


ティーツリーオイルにおいて、その含有量が少ないほどに「高いグレード」とされるのが1,8シネオール。刺激成分となり、含有が多いと香りに大きな影響を与えるほか、オイルを肌に使用した際には肌刺激成分として発赤や湿疹等の原因となることが知られている成分です。
お掃除などで活用されることの多い「日用品グレード」の比較的安価なティーツリーオイルに10%などの高い割合で多く含まれる(プレミアムグレードのティーツリーオイルの場合、3%程度しか含まれません)この成分ですが、逆にこの成分を非常に高い濃度で含んでいるエッセンシャルオイルがあります。それはユーカリオイル。

ユーカリには様々な種類があり、そこから抽出されるオイルも成分構成は様々なのですが、この条件に該当するのはグロブルス種、ラディアータ種、ブルーマリー種などが挙げられます。
特にブルーマリー種は1,8シネオールが90%を超える濃度で含まれるため刺激が大変強く、体質によっては素手での取り扱いに注意が必要になるほど。最も生産量の多く一般的なグロブルス種でも80%台含まれます。ラディアータ種では70%台ですので、このレベルであれば香りを楽しむ余裕も出てくるかも。そんなこともあって、この成分は別名「Eucalyptol」とも呼ばれています。

なお、ティーツリーオイルでは嫌われる1,8シネオールですが、刺激の一方で喉や鼻のズグズグを緩和してくれたり、血流を良くすることで筋肉の痛みやうっ血を緩和してくれる効果が知られていて、オーストラリアでは筋肉痛対策の医薬品にこの成分を多く含むユーカリオイルが活用されています。

抗菌目的のエッセンシャルオイルの噴霧なら、結露させないようにすることが重要


乾燥する時期には、加湿器を使用する方も多いのではないでしょうか。エッセンシャルオイルが使える機器もあり、抗菌エッセンシャルオイルなどを入れて活用する方法も人気です。

一方で気をつけたいのは結露。ティーツリーオイルの主要抗菌成分「テルピネン4オール」は水にほとんど溶解しません。つまり水中の雑菌やカビには作用しないということで、結露してしまった場合には水面以下の部分への抗菌効果は残念ながら期待できず、放置すると逆にカビの原因にさえなってしまいます。

ですから、エッセンシャルオイルを抗菌目的で噴霧して活用する際には、適度に湿度管理を行いながら、結露させない環境で使用することが重要なのです。

シトロネラールの多さで選ぶ 虫除け素材ならレモンユーカリオイル


蚊が嫌う成分として、虫除けに効果的なのが「シトロネラール」という成分。この名前を聞くと虫除けにはシトロネラのエッセンシャルオイルを選ぶのが効果的のように思えますが(事実、キャンプ用品などでシトロネラオイル入りのランタンの燃料などが販売されています)、シトロネラオイルに含まれる「シトロネラール」の量は30%から40%程度しかありません。
一方で、この成分を多く含むのがレモンユーカリオイル。なんとその割合はオイル全体の80%前後に及びます。

つまり、虫除けにより高い効果が期待できるのはレモンユーカリオイル。時々、「ユーカリの虫除け効果」などといったキャッチコピーで販売されている虫除けグッズを見かけますが、ここで使われているのはスーッとする香りで知られる一般的なユーカリオイル(グルブルス種・ラディアータ種・ブルーマリー種など)ではなく、レモンユーカリオイルでなければいけません。

時々、誤解されて一般的なユーカリオイルを配合してしまっている「残念」な虫除けも見かけますが、「虫除けで使うならシトロネラールの含有が多いレモンユーカリオイル!」。覚えておいてくださいね。

レモンマートルオイルの取り扱いで気をつけなければいけないこととは?


劇薬を扱う際にはゴム手袋が欠かせませんが、これと同様にレモンマートルオイルを取り扱う際には同程度の注意が必要かも。

注意が必要なのはみかん風呂などで肌が赤くなってしまう、そんな体質の方。シトラル成分に対して肌が敏感に反応してしまう方です。

レモンマートルオイルの成分はその90%以上がシトラル成分。そのため、こうした体質の方がピュアオイルに触れてしまうと、たちまち肌が赤くなったり、湿疹が出たりしてしまうことも。
こんなに強い成分のオイルですから、様々な用途においても十分な希釈(0.1%未満)が必要となります。一方で、香りも大変パワフルですから、こんな微量でも十分に香りが楽しめます。

エッセンシャルオイルは香りに慣れてくると使用濃度がだんだんと高くなりがちですが、レモンマートルの場合にはディフューザーなどを使って高濃度で屋内に拡散した場合、目や肌にも刺激を感じることがありますので、使用に際しては毎回、しっかり計量して使用することをお勧めします。

オーストラリア産? ニュージーランド産? どちらのラベンダーを選ぶ???


オーストラリア産のラベンダーオイルの代表と言えるのがオーストラリア大陸の南に位置する「タスマニア島」で生産されるタスマニアンラベンダー。オーストラリアの中でもイギリスやフランスなどのヨーロッパの気候に近い地域で作られています。フルーラル感の強い香りが特徴。そのためフローラル感の源泉となるリナロールの含有量が比較的多いオイルです。同時にフランス産ラベンダーなどのに多い、香りの導入部にある「ツンツン」する香りが抑えられているため、香りの初端からフルーラルな香りで満たされることが世界的な高い評価へとつながりました。

一方でニュージーランド産ラベンダー。南島・クライストチャーチ近郊で生産されるこのラベンダーオイルはリナロールの少なさが特徴。そのためフローラル感は少なめですが、酢酸リナリルの含有量が相対的に多く、スッキリ・あっさりした香りに仕上がっています。
リナロールは優れた香りがある一方で、体質によってはアレルギー源となってしまうため、この成分が体質的に合わないという方も。そのためニュージーランド産のラベンダーは「低アレルギー・ケモタイプ」のオイルとして広く知られるようになりました。

近接するこの2国で作られた、対極的な香りのラベンダーオイル。『ラベンダーの香り』などという、大きな枠だけでエッセンシャルオイルを考えていると、その違いの大きさに絶対に驚きを隠せないことでしょう。

「フローラルなのにスッキリした香り」はラベンダーティーツリーの香り


しばしば「ティーツリー」と「ラベンダー」のブレンドオイルだと誤解されるのがラベンダーティーツリーのエッセンシャルオイルです。実際にはティーツリーの木と同じメラルーカ種の樹木「Melaleuca ericifolia」から水蒸気蒸留で抽出されるエッセンシャルオイルなのですが、その成分構成を化学的に分析した結果、ティーツリーの木からラベンダーのような成分のオイルが抽出される、ということでこの名前がつけられました。別名はロザリーナ

オイルの抽出部位は枝葉。なのに花から抽出されたオイルのように、ふんわりしたフローラルな香りがするのは、ラベンダーオイルに多く含まれるリナロールの含有がとても多いことが理由(2016年出荷のオイル・ME-059の場合で41.9%)。この量は一般的なラベンダーオイルに匹敵します。
一方で、1,8シネオールが20%近く含有されています。この成分は主にユーカリオイルに多く含まれる成分で、刺激的でスッとした香りが特徴。喉や鼻のグズグズや鬱血を緩和してくれる成分として広く知られ、広く活用されている成分です。

このような成分構成ですので、ラベンダーの香りが苦手な方(=主にリナロールに対してアレルギーを持っている方)にはお勧めできませんが、ラベンダーの香りがお好きな方にはとても相性の良いオイル。特に花粉の気になる季節などには、ユーカリほどツンツンと刺激が気になることなく華やかさとスッキリ感が同居しますのでかなり便利。

生産量が限られ、オーストラリア国内でも一般的な小売店での入手が比較的困難なオイルですが、成分構成が比較的シンプルで用途の広いオイルですから、アロマを始めたばかりのビギナーさんにもお勧めできる1本です。

エッセンシャルオイルに関わる研究開発のためのサポートについて

ティーツリーファームズでは大学等の教育機関や各種研究機関、医療機関や地方自治体などによる、ティーツリーオイルを中心としたエッセンシャルオイルの研究や各種啓発活動について、実験や展示等に必要となる「試料・資料提供」を通じてサポートさせていただいています。

当社は小規模な会社ですので、資金提供等を伴う支援活動は行っていませんが、社会貢献活動の一環として、こういったエッセンシャルオイルに関する研究を応援させていただいていますので、関心をお持ちの機関・団体さんがおられましたらお問い合わせフォームよりご連絡ください。

なお、サポートさせていたくのは「主としてティーツリーオイル・エッセンシャルオイルに関係する公益性の高い研究」であることを条件とさせていただきます。


 

厚生労働省事業による、医療関係者に向けたティーツリーオイル選びのポイントはグレードと鮮度


ティーツリーオイル選びは鮮度の高さ、刺激物質の少なさを重視すべき理由がこんなところでも紹介されていました。

厚生労働省「統合医療」に係る情報発信等推進事業に基づき大阪大学が発信している『「統合医療」情報発信サイト』。このページ内にティーツリーに関する情報が公開されています。(ページへのリンク
※同ページではティーツリーオイルを「ティートリー油」と記載

ここで注目される記載は
”ティートリー油に含有される皮膚刺激物質(1,8-シネオール)の量は様々です。この化合物の含有量が高い製品では、一部の人に皮膚のかぶれや接触性皮膚炎、アレルギー反応がみられる可能性があります。
酸化したティートリー油(空気と接触していた精油)は、新鮮なティートリー油と比較してアレルギー反応を引き起こす可能性が高いです。”(同ページより抜粋)
というもの。

つまり、刺激物質1,8-シネオールの含有が多い、お掃除などに利用される日用品グレードのオイルに対するリスク、そして鮮度管理がされていないオイルのリスクについて記されていました。

実は皮膚刺激物質とされる1,8-シネオール。ISOの基準で以前は15%未満、2017年に厳しくなった改定ISOの基準でも10%未満と、依然として高い数値が残されています。これが先の紹介記事中で「量は様々」とされた理由。
実際に、現在でも古いISOの基準のままこの数値の高いオイルが安価に市場取引されています。香りにツンツンした刺激が強いため、比較的容易に判別がつきます。

対してプレミアムグレードのオイルの場合、この数値はなんと3%前後。
15%と3%ですから単純に5倍の差ですから、香りにも当然、大きな違いがあります。

ティ―ツリーオイル選びの際には価格だけでなく、こうしたグレードや鮮度の差についても、考えてみていただきたいと思います。

ティーツリーファームズのティーツリーオイルはプレミアムグレード以上のグレードです。これについては公開されている成分分析表から確認することができます。