2020年・入手が困難になっているオーストラリア産のエッセンシャルオイルとは


ティーツリーオイルやユーカリオイルのように、多くの生産者があり、それぞれが大規模に生産しているエッセンシャルオイルがある一方で、小規模な家族経営で生産されているエッセンシャルオイルがあります。今回はこんな小規模に生産されているオイルにスポットを当ててみましょう。
具体的にはレモンセントティーツリーロザリーナネロリーナレモンマートルアニスマートル等のオイルが挙げられるでしょうか。こうしたオイルは生産規模が小さかったり、規模は大きくてもその数が少なかったりしています。一方で、経済成長を続けるアジア各国からの引き合いが増加していて、新規の取引を断っている農園も多くあります。こうした状況は生産規模を拡大すれば解決できそうなのですが、オーストラリア国内における農業分野の労働力不足は深刻な問題。そのため人手のかからない作物に転作する農園も。加えて家族経営されていた農園の世代交代もあって、後継者がいない事による廃業で一部のオイルはむしろ生産量が減少しているものも。

これに加えて、ここ数年でこうした希少な種類のオイルを日本に出荷していた有力サプライヤーに廃業が相次ぎました。この影響でオーストラリア産の希少種オイルが入手できなくなってしまった日本国内のエッセンエシャルオイルブランドもあるようです。
生産量の変動と引き合い急増による国際競争の激化、そして流通の変化・・・様々な要因が絡み合い、複雑に影響しているオーストラリアのエッセンシャルオイルマーケット。特にこれから大きな影響が広がる(入手がもっと困難になる)のは世界的に人気の高まっているレモンセントティーツリーレモンマートルのエッセンシャルオイルだと予想しています。

偶然見つけた『掘り出し物』のエッセンシャルオイル


雑貨店さんなどで安価に販売されているエッセンシャルオイル。多くの場合「価格相応の品質&香り」なのですが、それでも時折、ずば抜けて素晴らしい香りの『掘り出し物』に出会えることがあります。
事実、3年ほど前に入手した某社さんのエッセンシャルオイルでは、その香りがとても素晴らしかったため、気になってガスクロマトグラフィーによる品質解析をしてみたところ、価格からは想像できないほどの高い品質が確認できた、というケースがありました。もちろん検査結果は良いものの、生産年や産地は不明なままなのですが。。。

こういった安価なオイルの場合、成分解析は公開されず、生産地や生産年さえも記載されていない物がほとんど。中には学名さえ記載のないものもあります(たとえば単に『ユーカリ』って書かれているオイルは一体何のオイル?)。
こうしたオイルの出どころは、その多くが最近では中国の会社さんのようです(当社にもしばしば売り込みがありますし、ネットにも多く出品されていますね)。しかし中国で全てのオイルが生産されているわけではなく、中国のサプライヤーさんがどこから輸入してきたものを販売している、といったものも含まれています。
ちなみに流通の過程で、ブレンドされたり、希釈などの名目で何かを加えられたりしてしまうと、そもそも生産地や生産年という概念はなくなってしまいます(複数のサプライヤーさんが関わって、そもそもオイルの出所が不明といったケースもありましたね)。
今回は比較的安価なレベルのオイルを扱っているブランドに(偶然?)、極端に優れた品質のオイルが紛れ込んでしまったケースだったようです。

ごくまれにこうした『掘り出し物』が見つかることもある、という体験談でした。

ディフューザーでティーツリーの抗菌成分を上手に活用する


インフルなどの風邪予防で活用できるエッセンシャルオイルならティーツリーオイルですね。ウィルス対策としてもその効果が研究によって明らかになっています。風邪をひいてしまった後の気管支系のケアならユーカリオイルやニアウリオイルがスッキリさせてくれますが、そうなる前の抗菌予防ならティーツリーの一択でしょう。
超音波式のディフューザーにドロップして空間に拡散するだけですから簡単です。特に口呼吸の多い方なら、就寝時の寝室での利用が抗菌&加湿効果でおすすめです。もしティーツリーの香りに飽きてしまったなら、抗菌エッセンシャルオイル『メディフレグランス』という選択も。こちらにはティーツリーの抗菌成分として知られるテルピネン4オールが、一般的なティーツリーオイルよりも多く配合されているので、風邪予防に便利。寝室でならリラックス効果の高い抗菌エッセンシャルオイルのラベンダーの香りタイプが人気ですね。

もし、ディフューザーでなく加湿器で使うなら水溶性エッセンシャルオイル「アクアフレグランス」のティーツリーオイル。タンクに加えて利用できます。このオイルと同時に他の水溶性オイルの香りも加えてブレンドを楽しむのもいいですよね。

アリが列を乱して、一斉に逃げ出す・・・そんな強烈なアリ忌避効果のあるスプレー


以前にゴミ箱に集まったアリを退散させる方法をご紹介しました。今回はこのときの記事の応用編です。
家の中に一列に並んで入ってきたアリ。既に屋内に侵入してしまったアリは駆除するとしても、まずは屋外から家の中に進軍してくる列を止めなければ状況の解決にはなりません。
実は当初、殺虫剤を使ったのですが、それでも遠回りをして経路を変えて、またすぐに入ってくるだけで解決に至りませんでした。アリには殺虫剤は効きますが、意外にも殺虫剤そのものに対してはあまり嫌悪感・忌避感を覚えないようです。
で、利用したのがゴミ箱のアリ対策で役立ったレモンマートルオイル。今回のレシピはこれ。
・エタノール 90ml
レモンマートルオイル10ml
これらをスプレー容器(約100ml)に入れて混ぜ合わせ、アリの列に散布しました。結果・・・実はこんな光景は初めて見ました。アリは普通、経路に障害物があると通ってきた道を戻るように行動するのですが、このスプレーではそんな経路を全く無視して、スプレーのない方向に一斉に全力で走って逃げてゆくのです。「蜘蛛の子を散らす」と言いますが、まさにそんな光景。
そしてその危機的状況が伝わるのでしょう、後続で来るはずだったアリもピタリと来なくなりました。

今回のレシピそのものはレモンマートルオイルの濃度が10%という、少し高めのバランスですので、スプレーとしてはあまり経済的とはいえませんが、レモンマートルオイルがアリに対して強烈な忌避効果を持っているという点を利用してバランスを変えて色々とアレンジすることができそうです。
※画像はレモンマートルの葉

ティーツリー・ユーカリと干ばつとエッセンシャルオイルの関係


2020年、南半球の夏も本番に入り、1月に入ってようやくレモンティーツリーの花(画像)が咲き始めました。今シーズンは半年近い干ばつ。ほとんど雨が降らず大地はカラカラ。12月後半からようやく雨が少し降り始めたことでいろいろな植物が一斉に花をつけ始めました。このレモンティーツリーの花も同じで、例年なら11月頃に咲いている花。雨を得て2ヶ月近く遅れての開花です。
例年なら同じ時期に花を咲かせるレモンマートルは、ようやく枝先に蕾を付け始めました。この様子なら開花は3ヶ月遅れの2月でしょうか。

極度に雨が少ない年に花をつけるのが遅くなるのは多くの植物に共通した自衛策。これだけ極端な雨不足&乾燥・干ばつは日本ではあまり見られませんので、きっと多くの皆さんが知らない植物の一面かもしれません。
ちなみに、ユーカリやティーツリーの木。干ばつで植物に含まれる水分は減少するのですが、油分はしっかり残っているようで、干ばつの年であってもハーベストで得られるオイルの量は減りません。「むしろ、いつもより多めに採れるよね」と言うのはこの道40年以上のベテラン蒸留技師。

今年のオーストラリアの森林火災が特に激しく燃えるのは、水分が少ない上に油分が豊富に含まれた葉が多い、そんな植物の状況も影響しているようです。

オーストラリアの大森林火災・6週間後の様子

2019年11月以降、日本でも大きくニュースで取り上げられているオーストラリアの大規模な森林火災。当社の位置するNSW北部地域では11月下旬から12月上旬にかけて激しい森林火災が発生していました。
この地域はティーツリー農園やそれに関連する産業が集積している地域でもあります。今回の火災では社屋や設備が焼失してしまったり、在庫として保管されていたティーツリーオイルを焼失してしまったケースもありました。
この火災から6週間後の様子を画像でご紹介します。

火災当時、この幹線道路(ハイウェイ)も完全通行止めになりました。背の高い木のほとんどはユーカリの木です。

地面には灰が積もっています。

火災で倒れた木が道をふさいでしまうため、道路沿いにはチェーンソーで切断された木がたくさん積まれています。中には直径1メートルを超える大木も多くあり、消火活動だけでなく、火災後の交通網の確保も大変な仕事であることが理解できました。

この画像は火災の発生していた当時、2019年12月6日に撮影。午後3時頃の様子です。煙が立ち込め、太陽が真っ赤でした。

一見、全てが死に絶えてしまった森に見えるのですが、早くも次の緑の葉が育っていました。

てっぺんまで焼けてしまったこんな大きなユーカリの木ですが、幹から新しい枝が伸び始めています。

火災で燃えてしまったティーツリーの畑の様子。
木はてっぺんまで燃えてしまっていますが、その根本からは早くも次の緑が大きく育っています。

わずか6週間後にこれだけ復活するのですから、やはり強い木ですね。

森林火災という厳しい自然環境。一方で火災を経て木々の周囲、そして上方には日光や雨を遮るものがなくなりました。
ピンチを次の成長へのチャンスとして伸びていく木々のたくましい姿です。

ユーカリやティーツリーの生命力の強さ、そしてこうした火災がオーストラリアにとっては自然サイクルに組み込まれている「必然の試練」であることが伝わってきました。

※今回の画像はすべてティーツリーファームズが2020年1月9日に自社で撮影したものです。画像の転載をご希望の場合には当社までご連絡ください。

アリがゾロゾロと来た? ならアリが嫌うレモンマートルの香りを活用しよう!


オーストラリアはハエが多いことで有名ですが、同じように多いのがアリ。様々な種類のアリがいて、もちろんその数も膨大です。
つい先日、屋外に置いてあるゴミ箱を見ると、数百・・・きっと数千匹はいるでしょう、十数メートルに渡ってアリが数珠つなぎになって巣とゴミ箱の間を往復していました。そしてその一部が屋内への侵入を始めている・・・こうなると、普通は殺虫剤で駆除となるのでしょうが、これだけの数のアリを殺してしまうのも残酷で、気が引けます。で、利用したのがレモンマートルオイルでした。
レモンマートルの香りはコバエが嫌う香りだということは以前にもご紹介(過去記事)しましたが、同様にアリにも効果があるのではないかと考えたからです。

結果、大きな効果が見られて大成功。
使用方法はコバエのときと同じ方式で、キッチンペーパーにレモンマートルオイルを10滴ほど、少し多めに滴下したものをゴミ箱に投入して蓋を閉めるだけ。その後、経過を観察すると徐々にアリの数は減少し、最終的にはゼロに。
ゼロになった段階でゴミ箱をお掃除すれば犠牲を払うことなく、ゴミ箱のメンテナンスは完了です。

ちなみに複数回、同様の実験をした結果、レモンマートルオイルにエタノールを加えて、より気化しやすい状態で使用すると、さらに効果が早まるようでした。

ところでアリがたくさん屋内に入り込んできたときには、レモンマートルオイルをエタノールで5倍ほどに希釈したものをスプレーで使用したところ、やはり数分でアリの侵入を止めることができました。

アリに困っている皆さんにおすすめの活用方法です。

エタノールで希釈されたエッセンシャルオイルのリスクを考える


市販のエッセンシャルオイルのうち、その一部はエタノール(アルコール)を使って希釈&水溶化されています。その理由はコストと技術的な理由。
エタノールは安価な上、種類を問わずエッセンシャルオイルと混ざりやすいのです。つまり水溶化剤としてあまり技術がなくても簡単に利用できる・・・。
ちなみにエッセンシャルオイルは植物ごとにその成分構成が大きく異なることから、エタノールを使用せずに希釈・水溶化する場合、オイルの種類によっては白濁したり、うまく混ざり合わず水溶化できないことも多く、技術的にその開発は難しくなります。

一方でエタノールを利用して希釈・水溶化することによるデメリットは3つ。
1つ目はアルコールが香りに干渉すること。アルコールが持つ臭いが強いため、穏やかに香るエッセンシャルオイルに混ぜた場合、残念ながらその香りは台無しになってしまいます。
2つ目は体への刺激。エタノールの成分が肌や目、粘膜などに対して強い刺激を与えるため、香りを強くするために濃度を上げて使ったり、長い時間連続使用するとチクチクと刺激を感じることがあります。
3つ目は引火性。エタノールは常温でも引火しますので、火気厳禁。ほとんどのエッセンシャルオイルよりもエタノールの引火点は低いので、実はピュアオイルよりもずっと危険なのです。キャンドル式のアロマランプを使うような場面ではその使用は絶対に避けるべきでしょう。

このようなことから、掃除や除菌を目的に水で希釈して使用するような場合は別として、香りを楽しむ目的ではエタノール希釈されたオイルの使用はあまり良い選択とは言えないのです。

「脂溶性」のエッセンシャルオイルという表現に感じる違和感


水溶性のエッセンシャルオイルを専門に販売しているお店のページにあった「脂溶性」という言葉。水溶性の自社取り扱い商品に対して、水溶化されていない「普通のエッセンシャルオイル」を「脂溶性」と表現しているものでした。
正直なところ、エッセンシャルオイル関連の世界ではあまり耳にすることのない表現で、違和感をおぼえるものでした。
この「脂」という表現では、一般の多くの方はラードのような動物性オイルをイメージするのではないでしょうか。こんなイメージと結び付けられると、水溶性オイルのほうがなんだか良い物のように感じられる・・・曲解かもしれませんが、なんだか水溶性以外のエッセンシャルオイルのイメージ悪化を狙った少し悪意を含む表現にさえ思えて、スッキリしません。
ちなみに本来の漢字の意味から「脂」は動物性・植物性を問わないようですが、常温で固体であるものを指すそうで、現在はもっぱら動物性のものを示す場合が多いようです。

常温で液体の場合には「油」とするのが正しく、キャリアオイルとして知られるマカデミアナッツオイルやアーモンドオイルについては「油」と表現されるとのこと。
このことからキャリアオイルで希釈される「普通のエッセンシャルオイル」の場合、水溶性に対するなら油溶性と表現されるのがより適切なのではないかと思います。この方がなんだかスッキリしますよね。

肌についちゃった? エッセンシャルオイルを素早く安全に除去するには?


エッセンシャルオイルのブレンドを作ったり、オイルを活用した様々なグッズの自作の時など、いつもより多めにオイルを取り出して使用する際、肌にべっちゃりとオイルが付着してしまった・・・そんな経験はきっと多くの方にあるかと思います。
ティーツリーラベンダーなど、比較的刺激成分の少ないオイルであればそのまま拭き取ったり、水で洗い流すだけで、ほとんどの方には影響は出ないのですが、たとえば高濃度でシトラール成分を含有するレモンマートルなど、いくつかのオイルは肌に強い影響を与えるため早急に、しっかりと除去する必要が出てきます。
オイルの除去といえば石鹸洗いなどをイメージしますが、こんな時にオススメなのがキャリアオイル。エッセンシャルオイルを希釈するために用いられるオイルですから、キャリアオイルで「洗う」ことで肌に付着したエッセンシャルオイルを素早く溶解し低濃度化・除去してくれるのです。
アロマ用のキャリアオイルが手元にない場合でも大丈夫。こんなときにはキッチンにあるサラダオイルや、オリーブオイルなど食用油で代用しても問題ありません。

リスクの高いエッセンシャルオイルが肌に付着したときには、まずキャリアオイルや、代用となる食用油を利用して付着したエッセンシャルオイルを素早く低濃度化・除去してから、石鹸で洗い流しましょう。