スペアミントオイルとペパーミントオイルの使い分けを考える


ミントの香りといえば、歯磨きなどで毎日触れている香りではないでしょうか。加えて、ガムやキャンディーなどのお菓子でもしばしば触れる香りです。
こうしたこともあり、多くの方がミントに抱くイメージは強い清涼感ですね。この清涼感・スッとする感覚の源泉はメントール成分。この成分を多く含んでいるのがペパーミントオイルです。
刺激的でスッキリした香りは集中力を高めてくれる香りとしても知られていますが、一方で強すぎるその香りは主張が強く、ブレンドで用いるのが難しい香りでもあります。たとえば、メントールが持つ虫除け効果を期待してレモンユーカリやラベンダーなどと合わせて「虫除けブレンド」で使った場合、混沌として収拾がつかない香りに仕上がってしまうことも多いですね。

これに対してスペアミントオイル。こちらはミントの爽やかな香りがある一方で、刺激成分の含有がほとんどありません。そのため、トップノートの他の香りとのブレンドでも調整がしやすい香り。たとえばレモン系の香りに合わせれば心地よいレモン&ミントの香りとして楽しめます。
協調性のある香りですから、単体ではあまり目立ちませんが実はブレンドで活躍できる場面の多い香りですから、常備しておいていただきたい一本です。

ペパーミントとスペアミント。それぞれの個性を楽しんで活用してみませんか?

ティーツリーオイルの酸化で変わるもの・変わらないもの


ティーツリーオイルはエッセンシャルオイルの中でも比較的酸化の影響を受けやすいオイルと言えるかと思います。そのためその保管にはボトル内の酸素量を減らすなど、酸化の防止・抑制が重視されることになります。

さて、ティーツリーオイルが酸化することで大きく変わるのはその香り。本来は澄んだ爽やかな香りだったものが、酸化による劣化により、まるで化学調味料を多量に溶かしたような、独特の尾を引くような強い香りが和感を感じさせるようになります。
時折『ティーツリーの香りは薬品にような香り』と感じるという方がいますが、おそらくアロマ用の高いグレードのティーツリーオイルではなく、刺激成分の含有が多いクリーニングや日用品用グレードのオイルか、こうした酸化の進んでしまったオイルの香りを試されたのだと思います。
ちなみに、(しっかり管理されたアロマ専門店ではこうしたことはないのでしょうが)雑貨店や量販店などの店頭に配置されているテスト用のボトルで、酸化が進んでしまった残念な香りに出会うことがあります。

一方で、酸化が進んでも大きく変わらないのが抗菌力。このオイルの抗菌効果の源泉であるテルピネン4オールは酸化に強い成分であるため、抗菌だけに着目とすると酸化による劣化の影響を受けません。つまり香りは悪くても、抗菌用途としては活用できる・・・(腐ってカビが生えるようなことは絶対にありません・笑)。

オーストラリアの家庭にある救急箱でしばしば見つかる10年以上も前のティーツリーオイルの小瓶は、抗菌剤としてはまだまだ『現役』ということになりますね。

目がチクチク・・・レモンマートルオイルの連続利用では濃度に気をつけて


レモンマートルオイルを超音波式のディフューザーを使って利用していたDさん。噴霧量の多いタイプの機器を使って経営するお店で利用してました。レモン果汁を思わせる済んだ香りは店に来るお客さんからの評判も上々でした。

オイルは水を満たした機器のタンクに数滴、加えます。シトラル成分を多く含むレモンマートルの香りはとても強いのですが、毎日利用しているとやはり香りに対して「慣れ」が生じてきます。結果、Dさんには日を追うごとに香りが感じられにくくなり、オイルの使用量が徐々に高まる結果に。
数週間後、Dさんは目に異常を感じます。それはチクチクした刺激。
そう、理由はレモンマートルオイルでした。空間に充満したレモンマートルオイルに多く含まれるシトラル成分による目に対する刺激作用がこの原因でした。

エッセンシャルオイルはとても強い成分で構成されていますが、中でもレモンマートルは刺激が強めのオイルです。香りに慣れることで使用濃度が上昇しないよう、使用量(今回の場合はタンクへの滴下数)をきちんと管理し、またブレンドや他の種類のオイルへの定期的な変更をすることで「香りへの慣れ」を防止するなど、工夫をしながら活用するようにしてください。

エッセンシャルオイルの利用でスプレーが壊れる理由


エッセンシャルオイルを使って作ったミストスプレー。しかししばらく利用しているとスプレーポンプが詰まったりして、うまくミストが作れなくなることってありますよね。
この原因の多くはエッセンシャルオイルによる樹脂部品の腐食です。エッセンシャルオイルの多くは樹脂・プラスチック成分を腐食する作用があり、たとえばティーツリーファームズの商品であれば、ラベンダーティーツリーといったオイルがスチロール系の樹脂を腐食します。低温圧搾により主に果皮から抽出されたオレンジやグレープフルーツなど、リモネンという成分を多く含むエッセンシャルオイルにも激しく樹脂を腐食する作用があり、発泡スチロールにこれらのオイルを滴下すると、すぐに穴があいてしまいます。

こうしたことから、ミストスプレーポンプのメーカーでは、商品化の前に必ず使用する素材でのスプレーポンプの耐性試験を推奨しています。(こうした試験をして採用しても、時折、ロットによっては故障が多発することがありますので、悩ましいところですが。。。)

もっとも個人利用のために自作したアロマミストでは事前の耐性試験などできませんから、ある意味「一発勝負」でスプレーポンプを選択することになります。故障は、残念ながらスプレーポンプの価格とは関係なく発生していますので、選ぶ際には故障することを前提に、安価なものを選択することを勧めします。
もしくは、利用しているアロマスプレーのポンプが故障なく動くようあれば、洗浄して再利用するのもお勧めですね。

アロマで虫よけ・レモンティーツリーとペパーミントの組み合わせ


一部のエッセンシャルオイルに虫よけ効果があることはすでに広く知られています。一方で、虫よけ効果がほとんど期待できないのに、効果的だと誤解されているケースも見受けられます。
たとえば、ある会社さんの虫よけブレンド。レモンユーカリなど、虫よけ効果に優れたオイルをベースにとしている一方で、含まれる数種類のオイルは香り付けのために加えられたものであったり、効きそうなイメージを高めるため(一部のオイルは虫よけ効果がほとんどないにも関わらず、効果があるように誤解されています)に加えられているようでした。
事実、虫よけ効果に優れたエッセンシャルオイルの多くは強く個性的な香りが多いため、これらを組み合わせて心地よいブレンドを作り上げるのは至難の業です。

で、今回オススメするのは比較的相性のいい2種類のオイル、レモンティーツリーペパーミントのオイルの組み合わせです。そう、レモン&ミント。
レモンティーツリーオイルには蚊が嫌う成分シトロネラールが豊富に含まれる一方で、柑橘系の香りの源泉となるシトラールも含まれ、甘酸っぱさを感じさせるスッキリした香り。シトラールを含まないレモンユーカリでは出せない香りです。
ペパーミントは刺激的なメントールの香りが主体ですが、この成分も清涼感を感じる爽やかな香りであると同時に、実は蚊が嫌う成分ですから、虫よけに効果的。
エッセンシャルオイルのブレンドのバランスはお好みによりますが、レモンティーツリー8割に対して、ペパーミント2割が目安でしょうか。甘みを強く感じさせるオーストラリア産のペパーミントオイルであれば3割程度にまで量を増やしても良いかと思います。

このブレンドをそのままディフューザー使って拡散すれば、お部屋の虫よけとして利用できるほか、水溶化すれば虫除けスプレーが作れますし、キャリアオイルを使って希釈すれば汗に流されにくい虫よけオイルにもなりますね。

就寝時に抗菌エッセンシャルオイルを使って風邪予防を始めよう!


ティーツリーファームズが2014年に日本の医療機関と共同で行った研究では「抗菌エッセンシャルオイル・メディフレグランス」の拡散したこの年の秋〜冬、風邪の罹患数が大きく減少したことが報告されました。利用した抗菌エッセンシャルオイルにはティーツリーの抗菌成分として知られるテルピネン4オールが多く含まれています。
また、夜間にはラベンダーオイルを多く含むタイプの抗菌エッセンシャルオイルを拡散したことで睡眠状況が大きく改善されたという報告もあり、生活サイクルの改善・安定がさらにこの改善に影響している可能性もあります。

風邪予防には適度な湿度も効果的。つまりエッセンシャルオイルと共にミストを拡散する超音波式のディフューザーはベストの選択肢。特に締め切った寝室での利用は抗菌成分の拡散も容易ですから、就寝時に活用するのが良さそうですね。
ちなみにディフューザーには色々な種類がありますが、抗菌目的での利用では購入時に店頭で比較して、できるだけ噴霧されるミストの量が多い機器を選択するのがポイントです。

ニキビ対策でのティーツリーオイルの利用 改善しなかった原因は「濃度が高すぎた」から


ニキビ対策として肌に直接塗布できる・・・このように紹介されることが多いティーツリーオイルですが、強力な抗菌成分がある一方で肌へのインパクトも強いため、やはりその利用には注意が必要です。

Kさんのケース。ニキビ対策としてピュアオイルを綿棒で使用していました。1週間ほど利用していましたが、ニキビ周りの肌は赤くなり、一向に改善しません。理由は単純で、ティーツリーオイルの成分が強すぎたことでした。
Kさんは敏感肌というほどではありませんが、虫刺されやかぶれなどの症状が出やすい・・・そんな肌質でした。そのため、相談を受けた専門家はティーツリーオイルをオリーブオイルを利用して20倍に希釈することを提案。5%にまで濃度を低下させました。結果、数日でニキビも肌の赤みも同時に解消。ニキビ対策は終了となりました。

高い濃度で使用すれば、より効果が高まるように思えるティーツリーオイルですが、決してそんなに単純なものではありません。体質との整合性を考慮し、適度に希釈した上での利用が重要だということが良くわかるケースでした。

ケモタイプ違いで香りの成分も全然違うことを実感! ニアウリ リナロール・ネロリドールケモタイプ


ティーツリーの近似種になる、ニアウリの木。日本でもユーカリに似てすっきりした香りのニアウリオイルは人気がありますね。このタイプのオイル(1,8シネオールを主成分としたタイプのオイル)はニューカレドニア産が有名ですが、オーストラリアでも生産されています。
でも、オーストラリアではもう一つ、ネロリドールとリナロールという2つの成分を主として構成されたオイルが抽出される、異なったケモタイプのニアウリが生産されています。ニアウリ リナロール・ネロリドールケモタイプ(LNCT)、別名はネロリーナ(これ以外にニアウリ・ネロリドールと表記される場合もあるようです)。
ロットによって主要な2つの成分構成のバランスには大きな違いが出ますが、合計でこの2つの成分で9割前後含有され、その香りはフローラル。「普通のニアウリオイル」とは全く違った香りです。
ところでこのオイルに多く含まれるネロリドールは男性ホルモンの値を上げる効果があるという研究データもあり、「男性を元気」にしてくれる作用が期待できるのだとか。

オーストラリア国内でも生産量が限られ流通量の少ないオイルですが、最近は生産者数も減少してさらに入手が困難になってきました。一方で、「普通のニアウリ」のイメージとは全く異なる香りが楽しめ、またケモタイプによるエッセンシャルオイルの違いを学ぶという上で、とても秀でたサンプルになりますので、アロマを深く学んでいる方には是非一度試していただきたいエッセンシャルオイルですね。

ブッシュハーブとしても愛用されているアニスマートル


アニスのような、特徴的な香りを持つ「アニスマートル」。この香りに対しては好き嫌いがはっきり分かれる傾向がありますが、オーストラリアでは多くの方がリコリス菓子に親しんでいることもあって、この香りを好む方が多いですね。
この植物から抽出されたエッセンシャルオイルはその成分がアニスシードオイルに似ている一方で、樹木の枝葉から抽出されるため青臭さがなく、使いやすい香りです。また成分上、優れた鎮静効果があり、子供の癇癪をコントロールする効果も知られています。

こんなアニスマートルですが、エッセンシャルオイルだけでなく、その葉を乾燥させたドライハーブでも人気です。ハーブはブレンドされてハーブティーとして利用されることがあるほか、スパイスとして使われることも。オーストラリア原産の植物であることから、同じくオーストラリア産の植物から作られたスパイス類と混ぜ合わせて「オーストラリアン・ブッシュハーブ」として、肉料理などで利用されたりしています。ただ、まだかなりマイナーな存在ですから、オーストラリアでも全国規模の大型店では取扱がされず、個人商店規模の小さな食料品店で時折、目にすることができます。
エッセンシャルオイル、ドライハーブと共にオーストラリア国内での生産量はまだとても少ないアニスマートルですが、レモンマートルの世界的な人気を追って、ヨーロッパを中心とした今後の人気上昇が期待されているオーストラリア産農産物の期待の新人です。

マカデミアナッツオイルをアロマで使うなら、精製オイルがオススメな理由


オーストラリアでもっとも多用されているキャリアオイルといえばマカデミアナッツオイル。精製オイルされたオイルが主にマッサージオイル用として活用されています。
オーストラリアで生産されているマカデミアナッツオイルには大きく分けて2つの種類があります。1つ目は未精製のオイル、二つ目は精製オイルです。

未精製オイルはナッツを低温圧搾で絞りフィルターで濾過したもの。主な用途は食用です。この種のオイルは栄養価が高くナッツの香りが楽しめる一方で、粘性が高くべとつき感が強いことから、マッサージ用途にはあまり適しません。また酸化の影響を非常に受けやすいことから香りの劣化が早く(古いオイルが持つ独特の匂いになります)、長期保存には適しません。

一方で精製オイルは、低温圧搾で抽出されたマカデミアナッツオイルをさらに精製加工することで作られるオイルです。精製処理によりナッツの香りが抑えられ、粘性が低くなることからサラサラした仕上がりになります。栄養価は失われてしまいますが、酸化の影響を受ける成分が除去されることで長期の保存が可能になります。もちろん化粧品用として利用されるオイルはこちらの種類のオイルです。
食用としてももちろん利用可能ですが、ナッツに特徴的な味も香りも失われていますので、美味しいオイルではありませんね。

このように、これら2つの種類のマカデミアナッツオイルはその特徴が大きく異なるオイルです。アロマのキャリアオイルやマッサージオイルとして使うなら精製オイルが適しているという理由がお分かりいただけることでしょう。

ところで食用として使うなら、未精製で新鮮なマカデミアナッツオイルを探すのがポイント。ナッツの香りたっぷりのオイルに少しだけ塩味を足せば、それだけでパーフェクトなサラダドレッシングになります。