先日、日本で医療関係者の皆さんとお話をさせていただいた際にも話題になったのが、ティーツリーオイルとラベンダーオイルを巡る誤解でした。
もう随分と昔になるのですが、某書籍に「ティーツリーオイルとラベンダーオイルはそのまま肌に使用できる精油です」と紹介されたことがありました。この文章をストレートに読めば、『これら2つのオイルは希釈する必要なく、そのまま使って良いのね』と理解されてしまいます。
そしてこれがさらに次の誤解を生んで、『ティーツリーやラベンダーオイルって希釈すると十分な効果がないのね』と、さらに大きく勘違いされてしまっている状況があるようなのです。
実際のところ、例えばティーツリーオイルが水虫菌に対して効果を発揮する濃度はわずか0.5%ですし、黄色ブドウ球菌に対しても0.5%から、最大でも1.25%の濃度でその発育を阻止することができます。こう見ると100%のピュアオイルを使用しなければいけない理由なんて、一般的な用途では全然ないのです。
▼参考データ
ティーツリーオイルの抗菌成分
では何故、このような情報が流れたのか・・・想像するに、ティーツリーとラベンダーのオイルは強力な抗菌力がありながら、この成分に対して肌に刺激を与える成分が少なく、発赤や湿疹などの反応を示す確率が低いため、事故として出血や火傷などの際に、いわば緊急避難的に使用することができる、という解釈ではないでしょうか。
もちろん「確率」の問題ですので、数百人に数人の割合で体質に合わないケースも想定され、この場合には発赤や湿疹の症状が出る可能性がありますし、塗布面積が広がるほどにリスクが増大します。
一方で希釈して使用することで抗菌力が著しく低下することはありませんから、希釈して使用するほうが安全ですし、精油は高価ですから経済的でもあります。
『濃いめ』だと、よく効いてなんだかオトクなメージですが、これらの精油については過剰な濃度での使用はリスクを高めますし、逆に無駄なだけ。
ということで、ティーツリーとラベンダーのオイルを利用する際には、十分に希釈をして、安全に賢く、経済的に活用していただきたいと思います。