2022年2月末に起きた大規模な水害。過去の記録を2メートルも上回る、海抜14メートルを超える規模の大洪水は近郊の町を建物の2階までを沈める深さで破壊し、この地域にあるティーツリーの畑も1週間以上に渡って、すっかり水没させました。
これだけの被害を受ければ、他の農作物なら甚大なダメージを受け、死滅してしまったことでしょう。もちろん、そのままの再生などは全く期待できなかったはず。
しかし、ティーツリーの木は違います。
こうした洪水・水害の多発する地域を「地元」とするティーツリーの主な自生地は湿地帯。この植物はこのような洪水を織り込んで生きているのです。
記事の画像はこの大規模洪水から約2ヶ月後(正確には7週間後)の、2022年4月に撮影したもの。枝が伸び、葉の茂る様子が見えます。
畑にはクチュクチュとまだ水が流れる音が聞こえ、トラクターなどが立ち入れないようなぬかるみです。
さらに驚くことは、この地域が3月末にも、もう一度、洪水被害を受けていること。つまり2回、水没しているのですが、それでもティーツリーの木はこのように、強い生命力を私達に見せつけます。
畑の横には複数の鉄塔が建っていましたが、そのうちの1つは大きく傾き、さらにその横には完全に倒壊してしまった鉄塔がありました。
つまり水害時には水没だけでなく、大きく激しい水の流れがあったことを示しています。
こんな激しい災害でしたが、厳しい自然環境を『宿命』として負っているティーツリーの木にとっては、十分に乗り越えてゆけるものだったのでしょう。
ティーツリーの生産者にとっては、作物は生きていますが、大地が乾いて固まるまでしばらくハーベストはできず、また洪水による漂着物の除去や雑草の駆除など、農園復興のための、手間のかかる日々が続きます。