先日入荷した、とあるエッセンシャルオイル。初めて取引する農園さんのオイルでしたので、こういったケースでは当社では通常より詳細な解析を行います。
で、まず確認したのがガスクロマトグラフィー(ガスクロ)を使った検査。成分分析表に書かれている、お客様にもお馴染みのデータです。農園さんが添付してきたデータと、自社で解析したデータを比較しましたが特に大きな数値の差異は見られませんでした。この点では合格。
しかし、なんだか香りの違いが気になります。添付されたデータから想像される香りと実際の香りに微妙な「乖離」が感じられたのです。
一抹の不安を感じながら、次に実施したのが引火点検査。何度でオイルが引火するのかを確認するための試験です。通常はエッセンシャルオイルが国際輸送する上での「危険物」に該当しないことを確認するための検査になります。天然成分で都度微妙に成分構成が変わるとはいえ、エッセンシャルオイルはおおよその引火点が知られていますので、これらを比較することで実は「異物の混入」の有無を推測することができるのです。
で、出てきた数値には驚かされました。なんと15度近くも引火点が低いのです。あまりに数値が違うので、機器の故障さえ疑って何度か試験を繰り返しましたが、結果は同じ。いくらエッセンシャルオイルの個体差を考慮しても、これだけの違いが出ることは考えられません。むしろ成分分析表から推測される温度は平均的な数値より高い引火点の可能性を示しているにも関わらず、まったく真逆の結果だったのです。
ということで、この農園さんには試験結果を説明し、この取引は結局、取り消しにさせていただきました。農園さんは「調査してみる」とは言っていましたが・・・その後、連絡はありません。
きっとティーツリーファームズがここまで細かく徹底している会社だとは思わなかったのでしょうね・笑。
成分分析表に表れる数値はそのエッセンシャルオイルに含まれるであろう、一定の温度範囲の中で出てきた成分の様子を解析しています。つまりこの「一定の範囲外」で出てくる成分については解析データでは把握しきれないのです。今回解析データに現れることのない、極端に引火点の低い何らかの物質の混入が疑われる結果でした。
エッセンシャルオイルの成分分析というとガスクロマトグラフィー検査ですが、こうした引火点を用いた検査ではガスクロでは見つけられないモノを見つけることができるのです。
今回は技術と設備が整ったエッセンシャルオイルメーカーだからできる、品質管理の一端をご紹介しました。