「一度、蒸留を始めたら24時間、ぶっ通しになるから体力勝負になるんだよね。」。作業者がこう笑いながら、見つめる先にある、蒸留器から上がった蒸気を集めるためのガラス容器の中には青い色の細かい粒がキラキラと輝いていました。
蒸留の作業自体はそんなに複雑なものではないのですが、温度や気圧など、様々な微妙な変化を確認しながら、安定した高い品質のエッセンシャルオイルを抽出するのは、やはり職人技です。
このエッセンシャルオイルの名前はブルーサイプレス。青い色のサイプレスオイルで、オーストラリア大陸北部が原産の樹木です。その見た目の美しさと香りの良さから、非常に高価なオイル(何故か、青い色のエッセンシャルオイルはどれもが高価なのですけれど)です。生産量も限られていることから、かつて「偽物」が作られたほど。もっとも、この時にメラルーカ種の木から作られた偽物は着色で見た目だけキレイでしたが、香りは全くダメだったのだそうです。
ブルーサイプレスオイルの一番の楽しみはその香り。そのままで香水として使えるような、複雑な香りは一般的なサイプレスのエッセンシャルオイルとは全く異なります。特にフレッシュなオイルの香りは甘さを感じさせるもので秀逸。
ただし酸化による劣化が早い傾向があるので、開封後は1年以内に使い切っていただくことをお勧めします。またキャップ内に残ったオイルは劣化が早いため、使用のたびにボトルのドロッパーをキレイにお手入れするのが良いかも。
ブルーサイプレスは高価で取り扱いにちょっぴり手のかかるオイルですが、その香りを試す価値は十分にあると断言できる、そんなオーストラリア産エッセンシャルオイルです。