その高い鎮静効果で、睡眠導入効果を期待しても多用されるのがラベンダーオイル。特にリナロールの含有割合の高いラベンダーはフローラルな香りが好まれ、人気があります(一方で、一部の体質の方にはこの成分が合わずに頭痛の原因となることも知られています)。
さて、こんなラベンダーオイル。火傷対策にも効果的という話を耳にされた方も多いのではないでしょうか。話の由来はわかりませんが、かなり古くから知られている活用方法のようで、オーストラリアでも年配の方を中心に活用されていた方が多いようです。
ではなぜ火傷に効果があるのか、化学的に考えてみましょう。
ラベンダーの主成分はリナロール。たとえばオーストラリア・タスマニア産のラベンダーオイルには平均で38%ほど含まれています。
実はこの成分、ティーツリーオイルに多く含まれ、その強い抗菌効果の源泉として知られるテルピネン4オールと同じ第3級アルコール(これは化学的な分類上のことで、お酒・アルコールのグレードの話ではありません)として、化学的にかなり近い成分なのです。
そして、この双方には高い抗菌効果がある・・・。つまり、この抗菌成分の含有の多さにその理由があったのです。
火傷によって皮膚の組織が傷つくと、水ぶくれができたりと皮膚に損傷が現れます。この損傷した皮膚には細菌や微生物が侵入しやすくなり、感染症を引き起こしやすくなるのですが、ラベンダーオイルの主成分リナロールの抗菌効果により、このリスクを抑制してくれる効果が。同時この成分には軽い麻酔効果があり、痛みを緩和してくれます。
さらに心理的な効果も忘れてはいけません。リナロールには鎮静効果があることが知られており、アクシデントで緊張し、高ぶった精神状態を解きほぐしてくれる効果も同時に期待できるのです。
つまり、これらの「殺菌効果」「麻酔効果」「鎮静効果」の3つが融合・支えあうことで火傷に対する有効性という形で、ラベンダーオイルの効果が古くから理解されるようになったようです。
エッセンシャルオイルには様々なMyth(根拠のあまりない神話・俗説のようなもの)が多いと言われますが、「火傷にラベンダーオイルが効果的」という話にはちゃんとこのような化学的な根拠がありました。