プロの立場でエッセンシャルオイル選びについて語る記事の2回目。
今回はブランドごとの香りへの取り組みの違いについて。
エッセンシャルオイルメーカーには主に「安定した香り」を重視したブランドと、香りを調整することなく生産地や生産年を明らかにしてそのままの姿で出荷するメーカーの2つに大別できることは以前の記事でもご紹介しました。
つまり、利用者はオイルの利用目的に応じて『そのメーカーが好む、変わらない安定した香りを基本とした商品』か、『ロットごとに香りに差異があるものの、化学的に解析された成分構成を重視した商品』か、これらから選択することになります。
さらに、化学的な分析を重視し厳密に管理しているメーカーではロット以外に「ケモタイプ」の区分が加わります。これは同じ種類の樹木・植物であっても生産地や土壌、生育環境、そして植物個体そのものの差異により、成分構成も香りも全く異なるエッセンシャルオイルが抽出されることがあり、これらを明確に区分する必要がでてくるから。このような場合、植物名だけで区分することが事実上無意味になってしまいます。
そのため、抽出されたオイルの特性を化学的に分析した上で「ケモタイプ」という分類を植物名にさらに加える必要が出てくるのです。具体滴な例として多くのケモタイプがあることで知られているのはローズマリーやニアウリのエッセンシャルオイルですね。
余談になりますが、実はティーツリーにも個体差があって、一般的なティーツリーオイルとは全く異なる成分構成のオイルが抽出される樹木があります。ただし、こうした木からオイルを抽出したとしても商業的な価値が全くありませんので、オイルが生産されることはなく、結果、ティーツリーオイルといえば抗菌成分テルピネン4オールが多く含有されるオイルが抽出される「テルピネン4オール・ケモタイプ」のオイルを指すことになりました。
エッセンシャルオイルメーカーにはこのように、エッセンシャルオイルに対する取り組みの姿勢に違いがあります。目的とする使用方法に応じて利用するメーカーを選んでみましょう。
次回の記事ではエッセンシャルオイルの品質の見分け方についてお話ししたいと思います。